指標関数

by Marco Taboga, PhD

イベントの指標関数は、イベントが起こったときに値1、イベントが起こらなかったときに値0となる確率変数である。

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Definition

以下は公式定義である。

定義 Omega をサンプル空間、$Esubseteq Omega $ を事象とする。 $1_{E}$で示される事象Eの指標関数(または指標確率変数)は、次のように定義される確率変数である。

イベントEの指標は通常$1_{E}$で表されるが、$chi $はギリシャ文字のカイ)で表されることもある。

例題 サイコロを投げて、1から6までの6個の数字のうち1個を表にして出すことができる。 サンプル空間は「偶数が表向きに出る」という文が記述する事象を定義する。 偶数が表向きに現れるときに値1、そうでないときに値0をとる確率変数が事象Eの指標となる。 この指標の場合分けの定義は

以上の定義から、$1_{E}$は支持と確率質量関数

特性

指標関数は以下の特性を楽しむことが簡単に理解できる。

べき乗

$1_{E}$n乗は$1_{E}$と同じである。なぜなら、$1_{E}$01のどちらかになり、

期待値

$1_{E}$の期待値はと同じになるからです。

分散

$1_{E}$ の分散は に等しい。 通常の分散の公式と上記の累乗の性質のおかげで、

交点

EFが二つの事象だとすると、なぜかというと。

  1. if $omega in Ecap F$, then and

  2. if , thenand

ゼロ確率事象の指標

E をゼロ確率事象、X を可積分確率変数とすると、ゼロ確率事象の指標は、EE の間にある。 すると、この事実の厳密な証明はこの入門的な解説の範囲を超えているが、この性質は直観的に理解できるはずである。 確率変数は、おそらくE$” style=”background-position:0px -1174pxvertical-align:-5px”>の点$omegaを除いて、すべての標本点<img width=で0に等しくなる。 期待値は、$X1_{E}$が取り得る値の加重平均であり、各値はそれぞれの確率で加重されている。 ゼロでない値$X1_{E}$はゼロの確率で重み付けされているので、はゼロでなければならない。

練習問題

以下では、練習問題の解答解説をしています。

練習問題1

確率変数 X と別の確率変数 YX の関数として定義されていると考える。

Yを事象の指標関数を使って表す。

事象の指標をで、事象の指標をであらわし、Yとする。 Y

と書くことができる。

演習2

X を正の確率変数、つまり正の値のみを取り得る確率変数とする。 $c$ を定数とする。 ここで、は事象の指標であることを証明しなさい。

まず、指標の和は常に1:に等しいことに注意し、その結果としてと書くことができる。さて、は正の確率変数であり、正の確率変数の期待値は正であることに注意すること。従って、

練習問題3

Eを事象とし、その指標関数を$1_{E}$とする。 $E^{c}$E の補集合とし、その指標関数を $1_{E^{c}}$ とする。 $1_{E^{c}}$$1_{E}$の関数として表せるか。

解答

二つの指標の和は常に1:に等しいので、

引用方法

引用元:

Taboga, Marco (2017). “指標関数”, 確率論・数理統計学講義, 第3版. Kindleダイレクト出版. オンライン付録。 https://www.statlect.com/fundamentals-of-probability/indicator-functions.

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